歴博のめざすもの
昭和56(1981)年、国立歴史民俗博物館(以下、歴博)は国立大学共同利用機関として設置された。この時、二つの大きな選択があった。一つは、21世紀に向けて日本の歴史と文化に関する総合的研究を推進するための有効な形態として、「博物館」を選択したこと。もう一つは、博物館を適切に運営するために、大学を中心とする全国の研究者と共同して調査研究・情報提供等を進める体制が制度的に確保された「大学共同利用機関」を選択したことである。
平成16(2004)年の法人化とともに、機関としての存在意義を明確にすることが、各方面から求められている。そこで、設立以来四半世紀を経た歴博も、その存在意義と今後の方向性を早急に打ち出す必要があるとの判断から、平成18(2006)年1月に将来計画検討会議を立ち上げ、1年以内に結論を得ることとした。
この冊子は、「国立歴史民俗博物館将来計画検討会議報告書」の要点を収めたものである。その基本的な考え方は、設置当初の二つの選択−博物館と大学共同利用機関という形態−をあらためて立脚の原点と位置づけたことにある。その上で、博物館機能を存分に発揮する独自の研究スタイルとして「博物館型研究統合」を提唱し、あわせて「共同利用性の充実」を図ることにより、共同利用機関としての使命と社会の強固な接点を活かした研究を推進することを目標に掲げた。
設置25年を迎え、我々は【歴史が切り拓く未来】を見据えて、ここに基本理念と基本方針を再確認した。館外の皆様にも、歴博のめざすところを理解いただき、忌憚のない意見をお寄せいただければ幸いです。
平成19(2007)年 3月