琉球帝国からみた東アジア海域世界の流動的様態と国家

科研費研究

基盤研究(A)一般

琉球帝国からみた東アジア海域世界の流動的様態と国家

研究代表者 村木 二郎(本館・研究部)
研究分担者 鈴木 康之(県立広島大学)
関 周一(宮崎大学)
池田 栄史(琉球大学)
中島 圭一(慶應義塾大学)
渡辺 美季(東京大学)
黒嶋 敏(東京大学)
荒木 和憲(本館・研究部)
齋藤 努(本館・研究部)
田中 大喜(本館・研究部)
松田 睦彦(本館・研究部)

研究目的

世界史上の大航海時代より以前、早くも14世紀代から東アジア海域世界では活発な交易が行なわれていた。それを牽引した琉球は、単なる受動的な中継貿易国家ではなく、諸外国と複雑な外交交渉を行い、積極的な交易活動を展開した海洋国家であった。その活動過程で、言語も習俗も異なる先島や奄美に侵攻し、在地社会を大きく変化させた。その痕跡は、遺跡や遺物、伝承に残るのみである。本研究では、これまでほとんど注目されてこなかった琉球の帝国的側面に視点を据え、中世後半の東アジア海域世界の多様かつ流動的な様態を捉え直す。その際、これまで独擅場であった文献史学による研究に目を配りながらも、集落構造や流通、技術に着目し、考古学、民俗学、分析化学等のさまざまな手法により、新たな歴史像を探る。そして、歴史的一断面から設定された現在の国境の必然性を問うことで、「国家」とは何かを歴史学の立場から提言するための実証的素材を整える。