「江戸の妖怪絵巻」
開催概要
開催期間
2023年8月1日(火)~ 2023年9月3日(日)
会場
国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
料金
一般600円/大学生250円
高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者と共に入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑(入苑は16:00まで)にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
開館時間
9:30~17:00(入館は16:30まで) |
休館日
8月7日(月)、8日(火)、21日(月)、28日(月)
※8月14日(月)は開館します
主催
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
趣旨
江戸時代には絵本や草双紙、絵巻、錦絵などありとあらゆる種類の妖怪図が無数に制作され、妖怪ブームの時代だったといわれています。その理由のひとつは、妖怪というものが描き手の想像力を刺激するものだったからでしょう。当館は「怪談・妖怪コレクション」と題して、国内でも有数の幽霊や妖怪の絵画コレクションを有しています。今回の特集展示はその中から絵巻という形式に焦点を当てて展示資料を選抜します。室町時代に成立し、江戸時代に多数の模写作やアレンジ作を生んだ“百鬼夜行絵巻”の中で、当館所蔵の狩野益信作は江戸初期の優品です。
「百鬼夜行図」のように妖怪たちのパレードを描く“百鬼夜行絵巻”の他に、江戸時代には妖怪図鑑ともいうべく、多種類の妖怪を羅列的に並べた絵巻も生み出されました。「化物絵巻」はそうした作例のひとつです。
また、源頼光と四天王らによる土蜘蛛退治を描く「土蜘蛛草子」のように中世の御伽草子の流れを汲むものや、鹿児島を舞台に妖狐を退治する侍大石兵六を主人公にした物語「大石兵六物語絵巻」など、絵巻本来のストーリー性を持つ構成をとるものも展示します。
併せて、純粋の妖怪だけではなく、地獄をテーマにした耳鳥斎の戯画「地獄図巻」も加えることで、絵巻という形式の中で多彩な展開を見せた江戸期の妖怪図を紹介します。
「大石兵六物語絵巻」(部分)
江戸時代後期 国立歴史民俗博物館蔵
※この場面は8月22日(火)より展示します。
本展のみどころ
- 一口に絵巻といっても、さまざまな表現形式が用いられたことをご覧ください。
- 滑稽でどこか愛らしい妖怪たちの姿は、今日の妖怪ブームにも通じるものがあります。
- 「百鬼夜行図」や「土蜘蛛草子」「地獄図巻」など、一流絵師の手による優品です。
主な展示資料
- 狩野益信「百鬼夜行図」
- 「化物絵巻」
- 狩野来信「土蜘蛛草子」
- 「大石兵六物語絵巻」
- 耳鳥斎「地獄図巻」
など8点(すべて本館蔵)
狩野益信「百鬼夜行図」(部分)
江戸時代前期 国立歴史民俗博物館蔵
室町時代に成立した「百鬼夜行絵巻」は、江戸時代に無数の類作・模本を生みました。本作は幕府御用絵師の狩野益信が描いたもので、江戸期につくられた同種の作中でも、とくにすぐれた出来栄えを見せています。
「化物絵巻」(部分)
江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵
妖怪図鑑ともいうべく、多種類の妖怪を羅列的に並べた絵巻。個々の妖怪の名称を添えて20種以上も図示されています。描かれた妖怪たちの姿からは、みなどこかしら愛嬌がにじみ出ています。
※この場面は8月22日(火)より展示します。
狩野来信「土蜘蛛草子」(部分)
寛政11年(1799) 国立歴史民俗博物館蔵 |
「大石兵六物語絵巻」(部分)
江戸時代後期 国立歴史民俗博物館蔵
鹿児島を舞台に妖狐を退治する侍大石兵六を主人公にした物語を絵巻にしたもの。兵六はときに妖怪から逃げ惑いつつも、最後は無事に妖狐を捕えることができます。
※この場面は8月22日(火)より展示します。
耳鳥斎「地獄図巻」(部分)
寛政5年(1793) 国立歴史民俗博物館蔵
鳥羽絵というコミカルな画風で活躍した耳鳥斎の作。地獄の鬼たちが亡者らをさまざまな滑稽な手段で責めさいなむ様子が描かれています。
展示代表
大久保 純一
OKUBO Jun'ichi
教授
研究部情報資料研究系
文学博士(東京大学)(2006年取得)
専門分野:日本近世絵画史
主要研究課題:浮世絵、江戸後期の風景表現
所属学会:美術史学会、国際浮世絵学会
学歴:東京大学文学部第二類(史学)美術史学専修課程(1982年卒業)
東京大学大学院人文科学研究科美術史学専攻修士課程 (1984年修了)
著書、論文、原稿執筆、講演多数。主な著書に、『アートセレクション 千変万化に描く北斎の冨岳三十六景』(小学館、2005年)、『カラー版 北斎』(岩波新書、2012年)、などがある。