第442回「加耶と倭の武器と武具」
開催要項
日程
2022年12月10日(土)
講師
松木 武彦(考古研究系教授) |
講演趣旨
国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」では、加耶の墳墓から出た鉄のよろいとかぶとの逸品が展示されています。めったにない機会。みなさん、ご覧になっていただけましたでしょうか。
4世紀から5世紀にかけての加耶と倭、すなわち朝鮮半島南部と日本列島は、武具が発達して副葬されることが、世界各地の国家形成期の諸文化のなかでも特別に盛んとなったところとして、国際的にも注目されています。
この講演の前半では、世界史的視野に立ちながら、武器・武具がさかんに副葬されることがどのような歴史的意味をもち、なぜ、それが加耶と倭で顕著になったのかをお話ししたいと思います。加耶と倭で戦争が頻発していたからなのでしょうか?あるいは、もっと他の理由があるのでしょうか?
講演の後半では、よろいとかぶと、および鉄や青銅の矢じりを中心に、加耶と倭の武器・武具の共通性とちがいについて、技術の見地やデザインの視点から、解説をしたいと思います。武器や武具の形や機能やデザインが、地域間で同じになったり、異なったり、分岐したり、また合流したりする現象には、どんな歴史的背景があるのでしょうか?
以上のように、加耶と倭の墳墓文化に共通した特徴といえる武器・武具を、さまざまな視点から分析することによって、この二つの王国が東アジアを生きた、その「生きざま」をしのんでみたいと思います。