『印籠とたばこ入れ』

特集展示

印籠とたばこ入れの画像

開催概要

開催期間

2022年10月25日(火)~ 2022年12月4日(日)

会場

国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室

料金

一般600円/大学生250円
高校生以下無料
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳等の提示により、介助者と共に入館料無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。 また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。

開館時間

9:30~16:30(入館は16:00まで)

休館日

月曜日

主催

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

当館は、平成25年度に根付・印籠・袋物のコレクション(H-1869)、平成28年にたばこ入れ(H-1904)、平成30年度には印籠及び印籠箪笥(H-1923)を相次いで受贈しました。そこで今回の特集展示は、館蔵資料の中から、男性の装身具である印籠とたばこ入れをとりあげて未公開資料を中心に展示し、当館が所蔵する膨大な近世資料の一端を示すことを目的とします。なお、平成27年に開催した特集展示「印籠」において、平成25年度受贈分の印籠の中から、100点弱を選んで公開しましたが、今回展示される資料の大半は、この時には展示されなかったものです。

印籠は、武家や一部の裕福な町人男性が佩用(はいよう)する携帯用の薬入れとして、近世初期から急速な流行をみました。当初より装身具としての機能が重視され、その多くに、高度な工芸技術を駆使した装飾が施されている点が特色です。一方、喫煙の習慣の広まりとともに普及したたばこ入れも、同様に実用を兼ねた装身具として、町人を中心とした庶民のあいだで広まり、近代に至るまで愛好されました。

小さいながらも用いる人のこだわりを表す印籠やたばこ入れには、貴賤を問わず装うことを楽しんだ日本の文化が凝縮されています。本展示では、これらにみる多様な素材や細密工芸技術、ウィットに富む装飾デザインなどを通じて、都市を中心に華開いた豊かな生活文化を浮き彫りにします。

輪舞遊楽図屏風 ↑ 左隻(部分) 江戸時代(17世紀) 本館蔵

輪舞遊楽図屏風 ↑
左隻(部分)

江戸時代(17世紀) 本館蔵

中央の男性の腰回りを拡大 ↑

中央の男性の腰回りを拡大 ↑

本展のみどころ

  • 100点以上の展示資料のほとんどが今回初公開
  • 日本を代表する蒔絵・螺鈿などの漆工芸をはじめ、江戸時代から明治時代に培われた各種技術の粋を集めた細密工芸としての印籠の美
  • 輸入皮革や各種織物に金具を加え、意匠を凝らした個性的なたばこ入れの数々

主な展示資料

  • 根付・印籠コレクションより 印籠およびたばこ入れ(約80点)
  • 印籠および印籠箪笥より 印籠(12点)および花鳥蒔絵印籠箪笥
  • 星野平次郎袋物コレクションより たばこ入れ
  • 輪舞遊楽図屏風 四曲一双

など100点以上(すべて本館蔵)

展示資料一覧はこちら

菊扇蒔絵螺鈿印籠

1) 印籠および印籠箪笥より 
菊扇蒔絵螺鈿印籠

江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵

徳川将軍家の御用を代々務めた印籠蒔絵師、山田常嘉作の華やかな印籠。

豆蒔絵螺鈿印籠

2) 印籠および印籠箪笥より
豆蒔絵螺鈿印籠

江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵

緑味を帯びた螺鈿を引き立てるため、緒締や紐の色合いを合わせたもの。

色絵梅樹印籠

3) 印籠および印籠箪笥より
色絵梅樹印籠

江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵

金・青・緑・赤の色彩を用いた華やかな京焼の陶製印籠。

花唐草文彫印籠

4) 根付・印籠コレクションより 
花唐草文彫印籠

江戸時代 国立歴史民俗博物館蔵

木地の表面に花唐草文を彫り出した洗練された装飾の印籠。根付は椎茸

富士越龍相良繍提げたばこ入れ

5) 根付・印籠コレクションより 
富士越龍相良繍提げたばこ入れ

明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

布地の表面に結び玉を造って文様を表す刺繍(相良繍)によるたばこ入れ。

黄羅紗地追儺図一つ提げたばこ入れ

6) 根付・印籠コレクションより 
黄羅紗地追儺図一つ提げたばこ入れ

江戸~明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

鮮やかな色彩、根付けと前金具とで節分のテーマを表す意匠が個性的。

霊芝彫腰差したばこ入れ

7) 星野平次郎袋物コレクションより
霊芝彫腰差したばこ入れ

江戸~明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

大きな茸をくりぬいて成形した珍しいたばこ入れ。

金地擬革紙渦巻文懐中たばこ入れ

8) 星野平次郎袋物コレクションより
金地擬革紙渦巻文懐中たばこ入れ

江戸~明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

刻みたばこを入れる袋(叺・かます)と煙管筒とを懐に入れて携帯するタイプ。

花鳥蒔絵印籠箪笥

9) 印籠および印籠箪笥より
花鳥蒔絵印籠箪笥

江戸~明治時代 国立歴史民俗博物館蔵

内部に12個の印籠をぶら提げて保管する形式の蒔絵箪笥。

展示代表

日高薫の画像

日高 薫

HIDAKA Kaori

教授
研究部情報資料研究系
文学博士(東京大学) (2008年取得)

専門分野:漆工芸史
主要研究課題:蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究,交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究
所属学会:美術史学会、漆工史学会
学歴:東京大学文学部第二類(史学)美術史学科(1985年卒業)
東京大学大学院人文科学研究科美術史学専攻博士課程(1990年単位取得退学)